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〜第7章〜
〜新たな出会い〜

CE4008年24月30日

あのライとの別れからいくつか月日が流れ、世の中はもうすぐ年変わりの時期になっていた
だが、俺たちの時間はあれから止まったようだった・・・
テリは、あの日以来普通の会話どころか、食事すらまともに摂らずに
ずっとライからの『メッセージDisk』を一日中見入っている・・・たまに動いたかと思うと、窓に身を乗り出し
外を見ながら1人ブツブツ言っているだけだった・・・まるで抜け殻だ・・・・見ている方がツライ
だが、最近はその頻度は減り、少しながらだが口数も食事の量も増えてきているようだ・・・
多分本人の中で『立ち直ろう』という気持ちが芽生え始めているのだろう
一方シルは最初の数日はテリと同じ様子だったが、今ではすっかり立ち直っている・・・
シルはテリに比べ一緒に居る期間は遥かに短かったせいなのか・・・(2人は10年近くの付き合いらしい)
その後、俺はハンター紹介所にてライの脱退手続きを取った・・・出来ればコレだけはしたくなかった・・・
ペンを持つ俺の手が書くのを拒絶していたのか振動していたのは、今でも感覚が残っている・・・

今日は紹介所から紹介してもらった人と初めて会う約束をしていた為、1人町に来ていた・・・
待ち合わせ場所はルドエリ駅の近くにあるカフェだ・・・
フ「・・・少し早くついちゃったか・・・・まぁいいか・・・」
予定より早く着いた俺は先に店に入り煙草を吸った・・・
少し時が流れただろうか、1つの陰が俺の後ろに近づいきてている。
気配に気づき振り向いた俺は少し驚いた!そこにはテリらしき熊獣人が立っていた
フ「テリ!なんでここに居るんだ?お前さっきまで宿に居たのに・・・」
俺が驚いた声で色々質問していると、その熊獣人は俺の質問の意味が分からなそうに
?「違います!僕はその『テリ』っていう人じゃないです!あっあの、人違いだったら申し訳ないんですけど・・・フェアさんですか?」
フ「そうだけど・・・貴方どなた?」
イ「あ!紹介遅れました、僕『イル』って言います。ハンター紹介所の紹介で・・・」
フ「貴方がイルさんか!すみません・・・仲間と見間違えて・・・つい・・・」
しまった!!!名前とかは聞いていたが、種族だけ聞いていなかった!迂闊だった・・・
イ「気にしないでください!とりあえず店出ませんか?」
フ「そうだな・・・じゃあ、話をしながら宿に行きますか・・」
イ「はい!お願いします!」

俺たち2人は宿に向かいながらお互いの事を話していた・・・
彼は最年少のシルより1つ下で、最近ハンターに登録したということ・・・暫くは1人でやっていたが今回俺たちが
募集していたのを見て、来たということが分かった・・・
フ「そういえばイル・・・身長とかってどの位あるんだ?」
イ「えっと・・・たしか身長196cmで体重が250kgです!」
テリより少し小柄なんだな・・・確かテリは『身長210cmの体重が320kg』だった気がする・・・
フ「そうか・・・背は俺と同じ位なんだな・・・」
そんな会話をしているうちに俺たちは、宿に到着した・・・
フ「さぁ、着いたぞ!俺たちはいつもここで生活している・・・んだっっっっっっ!」
俺が話をしていると、後ろから『何か』で叩かれた・・・!!
振り向くとそこには野良仕事を終えたオーナーが居た!
オ「なに〜が『生活している』だよ!『生活させて貰っている』でしょ!!」
フ「・・・・・・スイマセンでした・・・まぁそういうことだから」
イルは横で必死に笑いを堪えている・・・
オ「ところで、この人誰?テリじゃないよね?」
フ「ああ、こいつは新しく仲間に入った『イル』、この人はこの宿の主人の『マスター』」
イとオ「どうぞ・・・宜しくお願いします!」
2人はお互いに挨拶していた・・・

その後、俺たちはやっと部屋に到着した。部屋の中ではテリは相変わらずボーッと外を見て、何かに思い耽いた・・・が部屋に入ってきた俺の気配に気づき、いつものテリに戻っていた・・・
いや、『いつもの様に振る舞っていた』の方が合ってるだろう・・・
ラ「おう!帰ってきたか・・・シルならさっき買い物に行ったぞ・・・!」
フ「そうか!じゃあ先にテリに紹介しておこうかな!」
テ「???」
俺は出かける前、テリたちには話して無かった・・・
フ「こいつが今日から俺たちの仲間の『イル』だ!これからよろしく頼むな」
後ろからヒョコッとイルが顔を覗かせる・・・
その瞬間テリの表情が一瞬だけ凍りついた、すぐ
テ「おー今日だったのか!!よく来たな!!」
イ「よ・よろしくお願いします!貴方がテリさんですね!」
お互いに握手をした・・・一応テリには受け入れられらしく、俺はホッと胸を撫で下ろした・・・
その後買い物から帰ってきたシルにも、同じ様に紹介する・・・
まぁ・・・シルはテリよりあっさりした反応だったが・・・
よくよく見るとテリとイルは、同じ熊獣人だったが、微妙に体毛の色が違う・・・イルの方が少し明るい
その理由は、寝床に入った時テリにこっそり聞いてみた
フ「なぁテリ・・・なんで、お前とイルは体毛の色が違うんだ?俺たち狼獣人は皆似た様な感じなんだけど・・・」
テ「んぁ?そりゃあ・・・その祖先が住んでいた地域によって違うみたいだぞ?そうだな・・・俺みたいな奴は『ツキノ地方』で
イルみたいな奴らは『ヒグ地方』っていう・・・のを、昔誰かから聞いた事が有るぞ」
フ「そうか・・・ありがとう・・・おやすみ」
こうして新人『イル』を迎え、俺たちは新たな生活をスタートさせた・・・
これから起こる、新たな関係も知る由もなく・・・

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