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〜第6章〜
〜発覚その後〜

翌日、俺たちは用事で地元に帰るというシルを見送ろうと近くの駅に居た・・・
フ「んで、いつ頃帰ってくるんだ?」
この話が出たのは突然の事だったので俺たちは、シルが帰ってくる予定を聞いていなかった・・・
シ「明日辺りには帰ってきます!」
ラ「次からは前もって言うように!!!」
シ「はい、すみません!帰りは誰かに送ってもらうので良いです」
テ「そうか・・んじゃぁ気をつけ・・・・・」
テリの話が終わる前にシルは行ってしまった・・・相変わらずだ
テ「あのヤロー・・・話は最後まで聞けつーの!!!帰ってきたら少し懲らしめてやるか」
テリは珍しく少し怒っている様に見えた。

その後、俺たち3人は近くも店で食事をし、宿に戻った・・・昨日のライとの『約束』もあるし
だが宿に到着し、部屋に入ろうとした時だ・・・部屋の中には見知らぬ虎獣人が居た
『ドイグ』に泊まっている人ではないようだ・・・まさか泥棒か?
フ「誰だ!!?ここで何をしている!」
とっさに俺はその『不審者』を取り押さえた・・・まさか警察時代の技が役に立つとは思わなかった・・
?「いででぃで!!ちょっと待って!怪しい者じゃないって!!」
そこに少し遅れてきたテリとライが部屋に入ってきた!!
ラ「何してるんだよ!」
フ「怪しい奴を捕まえた!!」
『不審者』を捕まえたまま2人に状況を説明した・・・
ラ「いや、フェアこそ何してるんだよ!そいつの手を放せよ!!!」
テ、フ「は!?」
ラ「知り合いだよ・・・」
フ「嘘っっ!??」
そういいながらその『知りあい』を解放した・・・
テ「どういうことだ!?」
今イチこの状況が分かっていない俺たちにライは説明する・・・
ラ「こいつは、昔付き合っていた『ワズ』」
ワ「・・・どうも」
ワズと名乗る奴は軽く会釈した
フ「さっきは悪かったな・・」
ワ「いえ、突然部屋に居たのが悪かったんで・・」
・・・・・とりあえず礼儀はあるみたいだ。
ラ「つーか、なんで此処に居るんだよ?アノ時以来、連絡を絶ったのに」
ライに問いつめられ、ワズはやっと本題に入った・・・
ワ「実は、またライとヨリを戻したいと思って来たんだ。
んで、風の噂でハンターやってるって聞いて・・・調べてここに居るって分かって・・・」
そういえば、ハンター紹介所とか言う所があったな・・・そこに全員登録してるし、一般の人にもハンターの情報公開しているし・・・
ラ「他にいい人を見つけてくれよ!俺にはこの仲間がいるんだ!!」
ここに残りたいライと、一緒になりたいと言うワズの意見が分かれている・・・
ワ「いや!ライじゃなきゃダメなんだ!心も体も・・・!夜のアレも・・・」
ラ「じゃあ、お前も仲間になれよ!!!そうすれば、いつも一緒だし!!!!」
ワ「それじゃ駄目なんだ!!ライ1人とじゃないと・・・」
暫く2人の口論が続いていた・・・が、意外にも黙って聞いていたテリが口を挟んだ・・・
テ「・・おい!・・・黙ってきてたらお互い自分勝手な事言って!!!少しはお互い妥協とかしたらどうだ!!?」
ワズ&ライ「hぐっ・・・」
珍しく怒っているテリに2人は言葉を失った・・・が、俺はあえて口出しはしなかった・・・とりあえず様子を見よう・・・
テ「とりあえず1人ずつ自分の意見を言ってみろ!!!」
テリは、2人別々に話を聞いていた・・・流石はメンバーの中で年を取っているだけはある。
その後のテリの話によると、
ワズは『2人だけで、また最初からやり直したい。ライは今まで生きてきて一番の恋人だ。他の人の邪魔は受けたくない』
ライは『ワズの事は忘れられないけど、今のメンバーの方が何よりも大切だよ』
・・・と、言う事らしい・・・俺にとっては少しややこしい話だった・・・
テ「お互いの意見は分かった。おれには、はっきりととは言えないが、俺にとってもライは大切な仲間だ・・・だからライを奪うのだったら、俺と対決して勝っていけ!!!」
ワ「・・・分かった。じゃあ外で戦ろう・・・」
テリとワズの間に殺気が漂う・・・が、そこにライが割り込む
ラ「待って!!!ワズとテリ兄ぃが戦うのは見たくないよ!だったら俺は全部捨てる!」
『全部捨てる』その言葉の意味を一同は、一瞬分からなかった・・・
テ「『全部捨てる』って・・・何言っているんだ!?オマエは?正気か?」
ラ「正気だよ。俺は、2人のどちらにも行かないで、どっかで暮らすよ・・・」
ワ「いいのかよ!?俺やこの人達とも逢わないって事なんだぞ!」
ラ「つらいけど、しょうがないよ・・・こんな事があったんだから・・・」
滅多に泣かないライの目からうっすらと涙の様なものがみえる・・・彼だって本心はここに居たいと想っているんだろう
だけど『大事な2人、どっちか選べ』と言われても選べないし、ましてや、その両者が争う事になるのは、何よりもつらい・・・・・それならいっその事・・・と思ったのだろう。
フ「・・・・どうやら結論が出たみたいだな・・・ライ・・・」
ラ「フェアァ〜・・・今までありがとう・・・」
ほとんど半泣き状態のライの顔に、俺は軽く口を付けた・・・
フ「さよならは明日、シルとオーナーと一緒にな・・・今日はとりあえず休もう・・・」
窓の外は淡いオレンジ色の地平線と暗闇が絵画みたいに写っていた・・・

翌朝・・・
空はどんよりとした曇りだった。そんな中シルは帰ってきた・・・見知らぬ虎獣人と1人で荷物を持っているライを見て最初は混乱していた・・・それはマスターも同じだったに違いない・・・
だが、昨日の経緯を知りオーナーは分かってくれたが、シルは今イチ実感が湧かない様子だ・・・
そして・・・
ラ「それじゃあ、皆さん今まで本当にお世話になりました。本当は一人一人に挨拶したいけど・・・そうすると別れる時、なおさらつらくなるから・・・後でこのDiskを再生してくれないかな・・・?」
そう言いながら、1枚のDiskを俺に渡した・・・
テ「戻って来たかったら何時でも戻ってこい!俺たちはここに居るからな!」
テリはそう言いながらライに抱きついた・・・心なしか、テリの背中が悲しそうに見えた・・・
ラ「ありがとう・・・皆の事は忘れないから・・」
フ「気をつけろよ。テリの言う通り、又気持ちの整理がついたら戻って来たら良いから・・・」
ライは頷くと行き先を唱えずに行ってしまった・・・誰にも行き先を知られたくないのだろう・・
そのあとすぐにワズも、自分の町に帰っていった・・・自分が来たせいでこんな事になってしまったと言う
『自責の念』を持ちながら・・・
その後、俺たち3人は宿の食堂でライから最後に渡されたDiskを再生した・・・
その途端テーブルに置いたDiskの中からライの映像が浮かび上がる
どうやらコレは『ビデオレター』の様だ
ラ『みんな、今回こんな結果になってしまって御免なさい。最後にこんな形の挨拶ですみません・・・
最後にみんなにメッセージを残そうと思います・・・
まずシル。お前の事を何時も怒ってばっかりだったけど、本当はシルの事を弟みたいな存在だと思っていたんだ・・・だからあんなきつい事をばっかり言っていたんだ本当にごめんな・・・
そしてフェアさん、テリ兄ぃと一緒にこのグループに入れて貰って嬉しかった。最後の最後にフェアさんの本心が解って良かった・・・
最後に・・・テリ兄ぃ・・・貴方は昔から俺の父親だと思ってたんだ・・・アハハ・・・
今回、テリ兄ぃの本心と俺の本心を聞いてもらって・・・本当に嬉しかった・・・
もう、逢えないかもしれない皆に・・・今まで本当に楽しかっし・・・嬉しかった・・・
後で・・・マスター・・や・・オーナーに宜・・・しく言って・・ください・・・さよう・・な・・ら・・・』
終わりに近づくにつれ、ライの顔が涙ぐんできていたが本人は必死に明るくしていようという気持ちが伝わってきた・・・だが最後はとうとう我慢できなくなったのか泣き出してしまった所で
映像は終わった・・・その瞬間テリは立ち上がり・・・
テ「ちくしょー!!!!今までそんな素振りみせた事なかったのに!!俺が悪いのか!!!俺があんな事言ったせいか!?なぁ、教えてくれよフェア!!!!俺はどうしたら良いんだ!!?」
テリはひどく取り乱していた・・・が、意外にも今まで黙っていたシルが口を開いた・・・
シ「テリさんは悪くないと思うよ・・・オレは実際にここに居た訳じゃないし、ワズさんと同じ虎種族だから何となく解るんだけど・・・
虎獣人って、『何かを絶対に取り戻したい』みたいな気持ちが強いと、意固地になるタイプが多いんだ・・・
ワズさんは『ライと又2人一緒にやり直したい!』て強く思っていたみたいだけど、ライさんは『ずっとここに居たい』っていう強い気持ちだと思うんだ・・・
それが段々酷くなって誰かが止めない限り続いてたとオレは思う・・・自分もテリさんと同じ事をしてたよ」
珍しくちゃんとした自分の意見をちゃんと喋っていた・・・
テリは少しは落ち着いたのか黙っている・・・が、外は何時の間にか暗くなっている・・
フ「これからどうするかは、後々決めればいい・・・ワズと同じ様にライを無理矢理連れ戻すか
また新たに別な仲間を探すか・・・いずれにしても、今は落ち着こう」
テ「・・・そうだな、さっきは取り乱して悪かったな・・・」
フ「まぁいいさ!仕方の無い事だ。とりあえず今日は休むか」
Fin

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