〜第6話〜

〜Ability〜

この前の『クレの暴走』から数ヶ月後の 2005年6月のある平日

俺はいつもと変わらなくバイトに明け暮れていた…

AM11:30…お昼時

店の中では相変わらずレジの人と、厨房の人とでちょっとした戦争が起こっていた(笑)

「いらっしゃいませ、こんにちは〜…」

「テ○ヤキ1個待ってま〜す」
「あーい!ちょっと待ってて!今、作ってっから!!」

…まぁいつもの事なんだケド

PM12:20
そんな状態がちょっと落ち着いた頃

”カチャン…”
俺は床に落ちたトングを拾った…丁度お客も引いてきたみたい
コ「すいませーん、ちょっとコレ洗ってきまーす」

”ジャー…”
コ「うっし!…ん?」
フと気付いてみると、外へ続くドアが開けっ放しだと言う事に気付いた…

コ「ったく誰だよ…開けっ放しにするなんて…」
なんて独り言をつぶやきながら、何となくいつもクレがやっている様に
手を前に突き出し、心の中で「閉まれ」と思ってみた…すると

”ヒュッ…バンッ!!!”
勢い良くドアが閉まった!!

コ「まさか。まぁ風だよな…」
偶然とは思ったけど、念のため(?)試しに近くにあった
段ボール(重さ約18kg)に再び手を前に突き出した

『浮け』

”フッワ…”
浮いた…高さにして30cmくらいかな?
ゆっくりと空中に浮かび上がった!

コ「うそ…だろ…」
自分に何が起こったのか分からず…俺は立ち尽くしていた…

その時だ

”パタッ…”
その音で、俺はふと我に返って音の方向を振り向いた

リ「お…お前…今…何したんだ…?」
そこには偶然にも厨房から遣ってきたリュウの姿だった…
しかも、マズい事に今俺に起こった事を一部始終見られたらしい!

コ「わ…分かんねー…自分でも何をしたのか…」

M「おーい!!長木ー!なにやってんだー!?」
厨房から俺達を呼ぶ声が聞こえてくる

コ「リュウ…他の人には黙っててくれよな?」
リ「お…おう…わかった」
とりあえず、リュウに『口止め』して俺は先に厨房に戻った…

その後…
M「長木君上がっていいよー」
混乱しつつも、なんとか自分の勤務を終え、ようやく家に帰れた

”カチャ…キィー”
急いで玄関を開け、真っ先ににクレの元へ向かった…

ク「どうしたの?そんなに慌てて?」

コ「実は、今日…う〜ん…なんて言えば良いんだろう……!」
頭の中が混乱してて、クレに上手く説明出来ない…

話すより実際に見せた方が速い

俺は近くに有ったテーブルに向けて、さっきと同じ様に『浮け』と思ってみる…

”カタカタ……フッ…”
またさっきの段ボールと同じ様に、テーブルは空中に浮き始めた

コ「ふぅ…」

”ドン!ガチャーン!!”
力を抜くと勢いよくテーブルや、その上に乗っていた物が落ちた…

ク「ありゃりゃ…でも、凄いね!僕達の物体浮遊そのままじゃん!」

『物体浮遊』?よく分かんないケド、なぜ獣人の能力が人間の俺に?

とりあえず布団に潜り込み、目を瞑ってみたけれど…なかなか寝れないでいた…

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