〜第3話〜
〜Night run〜

あのリュウにとっての『未知との遭遇』から数日後…
まだ、アイツから連絡は無くバイトでも一緒のシフトは無かった…
あえて俺の方から連絡はしなかったけど

今日も残す所、後ちょっとでバイトが終わる〜疲れた
”ピィッ!”
お客さんからの注文が厨房の画面に表示された
”10(個) HB(ハンバーガー)”
丁度10個目のハンバーガを作り終えた頃…マネージャーが俺に話しかける
マ「長木君、あがって良いよ!」
コ「は〜い」
休憩室での着替えもそこそこに、駐車場に止めておいた自分の車に乗り込んだ。
”クシュシュシュシュン!!ドゥォォーン!”
キーを回すと愛車が目を覚ます(何言ってんだよ…)
コ「ん〜やっぱ良い音〜!」
(作者注:車のオーナーは自分の車が一番!って思ってるらしいです。)
その、帰り道…国道沿いにある某スーパーが、俺の視界に入った…
コ「今日、買い物していこうかな〜?」
『はっ』と、家で留守番をしているクレの顔が頭に浮かんだ…ちょっと心配になってきた…
コ「…やっぱ、また今度にしよっと…」

車を駐車し、やっと家に帰ってきた…もう外は暗くなってきいていた…
”ガチャ…キィ〜”
ク「コウ!おかえり〜」
コ「ただいま!」
普段の玄関ドアを開けた時の『誰もいない寂しさ』なんて無く
『扉を開くとクレがいる』という事が自分の中で、ちょっとした『幸せ』に思ってきた…
部屋に入ると俺が出かける前より…散らかっていた…なんで?
コ「なんか有ったの?…この状態は」
と、とりあえず彼に聞いてみた…
ク「え?『力』の練習を…少し、してみたんだ」
なんか様子が変だな、クレの顔色がおかしい
コ「どうしたんだよ?大丈夫か〜?」
ク「んん…ちょっとね」
”ガタガタ”
その時!部屋中の物が宙に浮き、まるでハリケーンでも来たように回り始めた!
コ「お、おい!落ち着けって!とりあえず『コレ』止めてってば!」
やがて『それ』も収まり、俺は訳を聞いてみた…
ク「実は…『こっちの世界』に来てから『外』出てないから〜ちょっと『精神的』に辛いかな…」
コ「なんだ〜!だったら言ってくれれば良かったのにぃ!…ちょっと待ってて!」
外に止めてあった車を、部屋の前に停めた…周りはまだ”シーン”としている…良かった〜
ク「?」
クレは俺が何をやっているのか、分かってないみたい(笑)
コ「とりあえず、乗りなよ!」
俺は車の後部ドア(?)を開け、クレを乗せた…
コ「さて!っと…何処行こうかな…そうだ!」
目的地を決め車を出した…
ク「ねぇ〜何処行くの〜?」
窓の外に流れる景色を見ながら、クレは俺に話しかけた…久々の外出で楽しそうだ
コ「ん?まぁ任せてなって!」
その時は、あえて目的地は言わなかった
車を走らせる事数十分…
コ「さて!着いたよ!外出ても良いよ〜クレ!」
そこは民家も無く街灯も無い山の中…ここなら結構騒いだりできる(もちろん携帯は”圏外”)
”ガチャ”
俺達は車の外に出た…外は雲一つない綺麗な夜空だ…
ク「うわぁ〜凄い…懐かしいカンジがするぅ〜」
クレの祖先(
)が、かつて森に住んでたせいなのか、彼の住んでた所がそうだったのか?
ク「これからも、たまにここに連れてきてね!この『鉄の塊』で!」
やっぱりクレを、ここに連れて来て良かった…そう思えた瞬間だ…
コ「だから〜車だって(笑)!いつでも良いよ〜!」
一方、その車の中から俺のお気に入りの曲ばっかり入れたCD『My Favorites CD(冬.Ver)』が流れている
その中の1曲が今の雰囲気と合っている様に思えた…
『舞いだした粉雪は 積もるのでしょう
 冬を耐え抜いてゆく 強さが欲しいよ』

1時間位した頃、寒い…やっぱ1月だな〜
コ「寒くないの?」
平然と空を見上げているクレに俺は問いかけた
ク「全然寒くないよ!でも、お腹すいちゃった!」
体毛がセーターの代わりになってるのかな?いいな〜
あいにく、車の中には食べ物はない…なんか持ってくれば良かったな〜(お菓子とか…色々と)
コ「そっか〜じゃあそろそろ帰る?」
ク「そうだね〜また来れるし!ねっ!」
車に乗り込んだ俺は、ちょっとクレを驚かせようと思い内装にある『アル物』をいじった!
”BOOST(加給圧) 0.8→1.1””ピーッ”
コ「よっし!いくか!」
”ファォン!フォン……キャアァアア!”
わざとタイヤを空回りさせ、車を『急発進』させた
ク「ウォ!?」
左右に続くコーナーを曲がり、一般の車の何倍も早く走る!
”ゴォアアアア…プッシャー!!!”
ク「ぎゃぁーーー危ないよーーー」
さすがに全開は危ないので少し抑えめに走ってるから、大丈夫なんだけどな〜(多分?)
スピードメーターを見てみる…『105km/h』
コ「大丈夫だよ!」
”キィ〜〜〜”
左右にくる横Gがクレを絶叫させていた
そして、ふもとに着く頃、後部座席に座ってるクレがやけに静かだと思い、俺は後ろを見てみた
コ「げっ!気絶してるし…!」
なんと、そこにはグッタリして気を失っているクレの姿があった…(笑)

数分後…
コ「大丈夫?ごめんね」
意識は取り戻した…けど『車酔い』してるみたい(笑)
ちょっと刺激が強すぎたかな(汗)
"チャリ…チャリッ…チャリン……ガタン!"
俺はふもと近くに有る自販機でア○エリ○スを買って、クレに渡した…
コ「はい!これ飲めば、少しは楽になるらしいよ!」
昔、どっかのサイトで見た事を実践してみた…本当に効くのかは…分からないけど(笑)
ク「う…ん…ありがと…」
”ゴク…ゴク…ゴク”
俺が渡した500mlの飲み物(フタは俺が開けたけど…)はホンの数秒でクレの胃袋の中に収まった…(絶句)
しばらくして、クレの体調も良くなってきたので家に戻る事にした…
今度は安全運転で…(彼はちょっと不安がってたけど(笑))
やっと無事に家に着いた…
ク「ありがと…ごめんね〜気分悪くなんかなちゃって」
コ「ううん、こっちの方が悪かったよ…もうあんな事、しないよ…」
今日の夕食は保存食(冷凍品)で簡単に済ませ、俺達は床に着いた…

これから、この『同居人』という関係の一線を超える事を…その時は知る由(よし)もなかった………

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