〜最終話〜

〜Destiny〜

『自分の心と素直に向き合う』

そう心に硬く誓った…うん…俺はもう迷わない

自分の『全て』を出し切ってでもクレに逢いたいんだ…

愛してる人といつまでも一緒にいたい…

昔は、そんな言葉…ただの『クサいセリフ』だと思ってたけど今は違う…俺にはこの言葉が実感出来る

以前と同じ状態が再びやってきてしまった…

コ「な…なんの…これしきの事で…」

『過疲労』なんか出てくるなっ!出る前にクレに逢わせてくれ…

思い浮かべるのは…クレの顔…今まであった全てを思い出してる…

もしも…もう一度…君に巡り会えたら…二度と君の手を離さない
例え、この先なにがあろうと…俺は君の事…大切にしていくんだ…

「コウ」

朦朧として来た意識の中…微かにクレの声が聞こえた…気がした…

意識が戻ってきた…朧げな状態の中、倒れていた俺はそのまま目を開けた…

頭痛がヒドい…ぼやけた視界…なぜか俺は草の上に居た…

コ「うっ…ん…ここは…どこだ?」

なんとか立ち上がり、周りを見てみる…
そこは一面霧が立ちこめていて、何も分らない…

遠くで微かにだが人影が見える…人しては変な気がするが…

コ「すみませーん…」
フラフラした状態のまま、俺はその人らしき影に近づいていく…

とりあえずこれはどうなってるか…なんで俺はここにいるんだろう…

影に近づき、やがてその姿が見えてきた…

が、そこで俺は驚いてしまった!
コ「ぞ…象????」

そこには手足の構造は確かに人だが、顔は象…しかも…
「んぁ?なーんスか…んん!??」

まるで初めて見るような顔で俺を見つめてきた…

「なーんだろうな、コレ?ねぇねぇクレ…ちょっと見てみなよ〜」

クレ?一瞬聞き間違えたかと自分の耳を疑った…

ク「ん?なにさ…知り合いなんでし………」
そいつに引っ張られて影から出てきた1頭の熊……

クレだ!!間違いない、彼も俺の姿を見て目を丸くしていたんだ

ク「コ…コウ?なっなんでここに?どうやって?えっ!?ほ…本物?」
彼も混乱している…俺も少し混乱していた…

コ「うん!確かに俺は『長木コウ』だよ!逢いたかった…クレ」
混乱はしていたが、クレの姿を見て凄く嬉しくなってきた
さっきまでの不快な気分が、一気に消えていく

たまらず俺はクレの方へ走り、そして胸に飛びこんだ

もう、何年も逢わなかった恋人達になった様な気分だ
クレの胸板の感触、そして匂い…凄く懐かしくも嬉しくもある

コ「ホント…あの時はゴメンね…本当はクレの事、凄く好きなんだよ…でもその言葉が素直に出なくて…」

自然と涙が出てきた…前とは違う涙…『願いが叶った』そういう嬉しい涙…

クレの胸で泣いている俺に、彼は腕を回してきた…そして思いっきり抱いてきた

ク「ううん…謝らなくていいよ…僕は今でもコウの事大好きだよ?その気持ちは…こっちに来てからもずっと…変わってないんだ」

俺の頭に雫が落ちてきた…クレも泣いてるのか?

コ「クレ?」

ク「僕…もうコウに逢えないと思ってたんだけど、またこうして逢えて…凄く…」

「なんか…よく分らないけど、お2人アツいね〜」
横で見ていた象がヒヤかしてきた…まだ居たんだ…

ク「うるさいな〜…キヤ!見ないの!こういうのは」
キ「はーい。じゃぁ、オイラは帰るよ?」

『キア』とか言う象は帰り、周りには誰も居なくなった…

いつの間にか霧も晴れていた…地球と同じ青い空が見えている

コ「俺も…また逢えて嬉しい…」
ク「うん…」

コウとクレは心から底からを抱き合った…

もう2人は『種族』の壁を越えてしまってる…

これからどんな事になるかは誰にも分らない

こうなる事が2人にとって『運命』だったのかもしれない…

『日常の中の非日常』 End...